FC2ブログ
スポンサーサイト
--/--/--(--)
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
この記事のURL | スポンサー広告 | ▲ top
<HP休止中更新>CLANNAD二次創作「水の音が聞こえない」(12)
2010/09/29(Wed)
*ただいまHP休止中につき、ブログのコメント欄を閉じています。 

 aaaa.jpg

 前回よりは早く更新できました(苦笑)。そのぶんすこし短めですが、よければお読み下さい。
 
 あと念のためですが前回頂いた拍手のお返事はこちらでしています。ありがとうございました!

 ペン画更新は10月からです。10月はたくさん絵を描きたいと思います。



~お読みになる前に~ <お願いです!>

・これはゲームブランド「Key」が発売した「CLANNAD」の二次創作小説です。発売元および関連会社と著者は関係ありません。

・ストーリーは「智代ルート」を基としています。

・執筆にあたり参考にしたのはネットで収集した「CLANNAD」についての情報です。それに著者の案が加えられた形となっています。なのでストーリー、および若干キャラクターに変更点があります。変更していない部分はネタバレですので何卒お気をつけ下さい。

・なるたけ原作のキャラクター像を順守していますが、主人公である岡崎だけは一人称という語り口なためどうしても著者の性格資質が混ざってしまい、印象に大きな違いが表れるかと思います。原作のテーマとずれがあるかもしれませんが、著者なりの「CLANNAD」に対する見解を示しています。

・現時点で登場、またはそれが確定しているのは岡崎、智代、春原、杏、椋、岡崎の親父です。

・問題があれば削除します。お知らせ下さい。


 


 では、どうぞ!

 ふたりで歩む道々に、咲きほこる桜花。坂上はそれを目にするたび、嬉しそうに振り返る。無反応でいると一々「きれいだろ」「すごいな」「ほら舞い落ちた」と子供が親に報告するよう、俺を「そこ」へ連れ出そうとした。もう数年と出入りせず、鍵も失くしたその場所へ。
「まったく。お前は仕方のないやつだな」
 愛想の悪い俺に、坂上は立ち止まる。「でも適当を言わないのは、好いと思うぞ」
 そう言ってまた何事もなかったように、「あ、あそこの樹はすごいな!」と走ってゆく。俺はそんな奴を追いかけているうちに、ポケットから手を出していた。


「ところでどこに行くんだ。メシじゃなかったのか」
「すこし前に食べたから、予定変更だ。さきに図書館へ行こう」
 坂上が答えたときには、もう真新しい建物が見えていた。近くの図書館へは小学生のとき以来足を運んでないが、それよりも大きかった。
 自動ドアをくぐり、中に入ると子供がたくさんいた。坂上は地べたで絵本を開く幼児らをにこにこ見ながら、走り回る子に「だめだぞ」と注意する。子供は坂上から離れるとまた走り出し、ため息をついたところを俺が微かに笑うと気づかれて、奴は口をとがらせ強く手を引いた。
 しばらく歩いて、棚で立ち止まっては本をとり、また歩き出す。そうして一周したところで、坂上は五冊ほど抱えていた。
「どうした。お前は借りないのか?」 
 と、俺を見上げてくるので、ため息をつく。
「本は読まない」
「えっ?」
 坂上はまるで宇宙人に出会ったかのよう俺を見つめ、瞬きする。それからやや眉間にシワを寄せて、言った。「本は楽しいものだぞ。なぜ読まない」
「感性の違いじゃないか」
 そう言い横を向くと、向こうの棚影からおおきな帽子とサングラスの女がこちらを見ていて、瞬間目があうとすぐ引っ込んだ。俺は追いかけようと踏み出したが、「岡崎」と呼び止められたため、静止して答える。「ちょっと待ってくれ。いま……」  
 坂上は俺の言葉にかぶりを振り、本を棚のすきまにおいて、自由になった両手で俺の頬を包んだ。そうしてグイっと引き寄せる。 
 二十センチほどの距離。じっと見つめてくる目。手から伝わる体温。わずかふれる吐息に鼓動を早め、息もできずにいると坂上はなにやらボソボソつぶやき始めた。
「……ーる……なーる」
「……?」
「お前は……本を……好きに……なーる……」 
 意味を理解し、俺は坂上を引き離した。奴は真顔で文句を言った。「まだ途中だ。今のままでは二十パーセントほどしか好きにならない」
「良いこと教えてやろう。ゼロに何をかけてもゼロだ」
 そう言って俺は駆け足で辺りを回ったが、もう見当たらなかった。くそ……。確か映画館でも似たような奴がいたが、ひょっとしてつけられてるのか?

――日曜日に大きな災いが岡崎君の身に降りかかります

――ダイヤは災いから救う救援者です。でもハートの力が圧倒的でどうしようもありません

「……崎。岡崎」
 振り向くと坂上が不安そうな顔で俺を見上げている。「どうしたんだ。何か気になるのか?」
「……いや。気のせいだろ」
「?」
 俺はなんでもない、と付け加えてそこらの本を手に取った。草花の写真をパラパラめくっていると、坂上がのぞき込む。「あ、それは良い本だぞ」
 そう言われ、薄い本を見返してみる。『雑草の本』と書かれていた。
「近くの図書館で、初めて借りた本だ。ここにも置いてるんだな」
 坂上は懐かしそうにそっと引き取ると、ページを繰り、そして一部をかくして俺に見せた。「この花とこの花の違いがわかるか?」
「分からん」
 即答すると足を蹴られ、仕方なく考える。どちらも白い花でそこそこ茎が伸びている。  
 数分間見比べて、俺はつぶやくよう答えた。「……こっちのほうが………………好きだな」
「……なに?」 
 それ以上何も言わない俺に坂上はため息をつき、隠していた部分から手をどけた。
「これがハルジオンで、こっちがヒメジョオンだ。説明はゆっくり家で読むといい。カードを作ろう」
 と、俺に本を押し付けた。そのままスタスタ歩いていくので追いかけると、申込用紙やら何やら置いてある台に行き当たる。
 突っ立っていると、ひとりで坂上は書き始めた。が、いつの間にか俺の前に白紙の申込用紙と、据え付けのボールペンが置かれてある。なのでやむなく、順番待ちの小学生を気にしながら並んで書き出した。


 その後図書館を出て、にこにこしながらも分厚い本を五冊、両手で抱える坂上に俺は言った。「ところでその本、重くないか?」
「いや」
「そう」 
 俺はそのまま無言で並ぶ。それから植木を三本くらい通り過ぎたところで、ふたたびつぶやいた。「ぶっちゃけ邪魔じゃねぇ?」
「……実はどうしようかと思っている」
 そう言って困った顔をする坂上。
「きょう借りるつもりはなかったんだ。けれどたくさんの本を見ていたら誘惑に勝てなかった」
 言い訳するようつぶやくので、俺はため息をついて言った。「コンビニでパン買ってくるよ。腹減ったしな。ふたり分ならおおきめの袋もらえるから、それに入れろ」
「……でもご飯は店で」
 俺は広場のほうを指し示す。「外でメシってのも『日曜の男女』らしくていいんじゃない?」
「う……」
 その言葉で坂上は口を閉じた。そのスキに俺は自分の本を五冊の上に置き、「待ってて」と道路へ駆け出した。

スポンサーサイト
この記事のURL | CLANNAD二次創作 | ▲ top
| メイン |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。