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<HP休止中更新>CLANNAD二次創作小説「水の音がきこえない」(9)
2010/02/20(Sat)
*ただいまHP休止中につき、ブログのコメント欄を閉じています。 

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  いつも拍手ありがとうございます。あと、本館の拍手も、ちゃんと確認させて頂いていますよ~。ありがとうございます。

 さいきん頂いた、この二次創作小説あての拍手メッセージへのお返事は、こちらの下の方でしています。念のためお知らせしておきます。

 
 さて。ようやく岡崎と智代のデート編です。しかし前の回から7ヶ月とか……(苦笑)。読んで頂いている方々には申し訳ないです。

 いま(9)ですが、おそらく完結は(30)くらいになるかと思われます。ふたりの家庭の話にも踏み込みますからね。う~んいつ終わるのだろうorz。
 

~お読みになる前に~ <お願いです!>

・これはゲームブランド「Key」が発売した「CLANNAD」の二次創作小説です。発売元および関連会社と著者は関係ありません。

・ストーリーは「智代ルート」を基としています。

・執筆にあたり参考にしたのはネットで収集した「CLANNAD」についての情報です。それに著者の案が加えられた形となっています。なのでストーリー、および若干キャラクターに変更点があります。変更していない部分はネタバレですので何卒お気をつけ下さい。

・なるたけ原作のキャラクター像を順守していますが、主人公である岡崎だけは一人称という語り口なためどうしても著者の性格資質が混ざってしまい、印象に大きな違いが表れるかと思います。原作のテーマとずれがあるかもしれませんが、著者なりの「CLANNAD」に対する見解を示しています。

・現時点で登場、またはそれが確定しているのは岡崎、智代、春原、杏、椋、岡崎の親父です。

・問題があれば削除します。お知らせ下さい。




 では、どうぞ!
 


 空はみごと曇った。予報どおりだった。
 俺は日の出前からそわそわし、部屋の中をうろうろし、あげく手持ちぶさたで片づけを始めたが、出掛けになっても慈悲はない。いっそ雨でも落ちてくれたらスッとしたのに、この様子では叶いそうになかった。神様はデートの価値を知らないらしい。俺はあきらめて軽く髪を整えてから、音を立てず部屋を出た。

 駅まで小道を歩く。四月も末、雨もあった。しかし未だ映る景色は変わらぬ春。この辺は桜通りと呼ばれ、角をいくつ曲がっても絶えることはない。狭さから車もあまり通らず、とくに散るのが遅いのかもしれない。

 駅が見え、手前のコンビニで足をとめた。ガラス越しに中をのぞくと、八時四十五分。いつもなら立ち読みでも始めるところだが、そんな気分ではなかった。
 短い横断歩道を小走りでわたり、歩道の真ん中、意図の解らぬ黄色ポールをよけて、ちいさな駅舎に着いた。日曜だというのに閑散としているのは、天気が悪いからなのか。まだ坂上の姿はなかった。
 
 二台しかない券売機の横で、ハッカガムを取り出し噛む。改札機の向こうに掲げられた時計の下、姿見を認めて少し髪をいじった。しゃれた服などあるわけもなく、白襟シャツとジーンズ。ただどちらも下ろし立てだった。そのせいかスニーカーの汚れが目立つが、いま買う金はない。
 しばらくぼんやり姿見を眺めていたが、そこに映る、駅前を行くまばらな人の中に、まっすぐ歩いてくるひとりの女が、やがてどんどん大きくなって、鏡から俺を覗き返した。笑ったようにもみえた。
 
 振り返ると、坂上が長い髪をゆらしている。俺はゆっくりガムを紙に包んで、脇にあったゴミ箱にノンルックシュートすると、かたい表情で黙っていた。すると奴はコツリと音を立てさらに寄った。それから俺の顔を見て、「おはよう」。
 思わず失笑した。果たして坂上は眉をひそめ、細い指を俺に向ける。「おはよう。岡崎」
「……ああ」
 こんどは無表情で一言。これが俺の精一杯だった。奴は壁時計に眼をやって、自分の腕時計にも眼をやって、それから腰に手を当てて、俺の顔を訝しく見上げた。
「私は遅刻してないぞ。服装も特に失礼はないはずだ。まだ挨拶しかしていない。なにを怒っている」
 そう言ってすこし不機嫌そうな坂上のいでたちは、ライトブラウンのショートブーツに、黒いストッキング、タイトなスカートはブルーで、体のラインが出る薄手の黒Vネック。さくら色ポシェットをななめにかけて、白いカチューシャをしていた。
 しばらく見つめあった後、俺は頭や首をかいて、何度か言葉を出そうとしたが、どうにもならず、睡眠不足のツケか、こともあろうに大あくびをしてしまった。
 坂上は目を丸くして驚き、何度か瞬きをして、対抗するよう大きなため息をつく。それからとつぜん目を三角にして甲高い声をあげた。「……何なんだお前は! 私がいったい何をしたというんだ!!」
「……違う、ちがう、ちがうんだ。ぜんぜん違う!!」ようやく出た声で、必死にまくし立てる。「緊張してたんだ! 昨日もあんまり寝てないんだ! すまん。謝る。お前が思っているようなことは何もない。ほんとう。緊張してただけ」
「寝てないのか?」坂上は表情を一変させた。
「いや……一時間くらいは」
「今日はやめよう。来週にしよう」そうして坂上は俺の手をひいて歩き出した。
「――ちょっと待て! どこに行く!」
「お前の家まで送るんだ。フラフラして事故にでもあったら大変だからな」
 そのまま早足で、この前とは違い、かなりの力で腕をひく。俺は手を解くべきか言葉を放つべきか迷う内にずるずるコンビニの前まで連れてこられ、ようやくそこで奴の肩をつかみその足を止めた。
「待てって! 送るってお前、俺の家知らないだろうが。……いや違う。そんなことじゃない。――いいか? さっき言ったろ。緊張して寝不足だったんだよ」
 訴えむなしく、坂上はまだ腕を放さず、痴漢を捕らえた覆面警官よろしく俺を確保している。「どういうことだ。はっきり言ってくれ」 
 ……なんという察しの悪い女だ。俺は呆れながら仕方なく呟いた。
「だから、きょう楽しみだったんだ。それと同じくらい不安だった。それで寝てないんだよ。来週に伸ばされるなんて冗談じゃない。また胃が痛くなる。やめてくれ」
 ゆっくり坂上は手を解いた。なんとも言えぬ顔をみっつ、よっつと見せながら、やがて最初に俺がしたよう失笑し、居心地悪そうに下を向き、コツ、コツ、とブーツを鳴らした。

 それで場に妙な空気が流れ、俺もひどく居心地悪くなり、ジーンズをかいたりスニーカーをこすり合わせたりした。しばらく後コンビニから客が出てきて、俺たちの間を無遠慮に抜けていったところで、ようやく平常心を取り戻し、ちいさく息をついた。
「戻ろうぜ。もう電車来るだろ」
「……うん。そうだな」
 そうして歩き出すと電車がホームヘ。慌ててふたりで駆け出した。 
 

  
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