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CLANNAD二次創作小説「水の音がきこえない」(3)
2008/05/28(Wed)

シャナ向上委員会 お絵描き板の人々<第5回>はひとつ下です!



~お読みになる前に~ <お願いです!>

・これはゲームブランド「Key」が発売した「CLANNAD」の二次創作小説です。発売元および関連会社と著者は関係ありません。

・ストーリーは「智代ルート」を基としています。

・執筆にあたり参考にしたのはネットで収集した「CLANNAD」についての情報です。それに著者の案が加えられた形となっています。なのでストーリー、および若干キャラクターに変更点があります。変更していない部分はネタバレですので何卒お気をつけ下さい。

・なるたけ原作のキャラクター像を順守していますが、主人公である岡崎だけは一人称という語り口なためどうしても著者の性格資質が混ざってしまい、印象に大きな違いが表れるかと思います。原作のテーマとずれがあるかもしれませんが、著者なりの「CLANNAD」に対する見解を示しています。

・現時点で登場が確定しているのは岡崎、智代、春原、杏、椋、岡崎の親父です。

・問題があれば削除します。お知らせ下さい。



 三回目です。今回からコメ欄に後書きを書こうかなと思っています(後で。苦笑)。よかったらそれも読んで下さいね。

 では、どうぞ!
 




 くたびれた引き戸の前にはいつも湿った風が吹き、それが門番よろしく積み上げられたゴミの悪臭を撒き散らす。俺たちの生活はそのまますっぽり大小の袋に押し込められたカスだった。
 たまにその「名刺」をどちらかがこしらえ表に放り、いよいよという段すてに行く。かつてひとつの鍵を共有していたとき隠し場所だった小さな植木鉢は色褪せ朽ち、その側(かたわら)には五年前からつぶれたままの半円サッカーボールがからからに乾いていた。俺はそれらをみないよう無表情に戸を引いたが、動かない。
 微かに息を漏らした。今日も会わずに済むかもしれない。尻のポケットをまさぐり鍵を出すと一気に差し込み、すばやく左右に振ってから左に回した。
 いつからか廊下の電気をつけなくなった。音も立てずにキッチンへ。座ることなく買ってきたオレンジジュースを口飲みしつつ、ガスレンジに火をともす。冷蔵庫の前でどちらかがこぼしたソースを思い切りふんずけたが無視して卵を取った。
 小さな頃からスクランブルエッグはよく作った。パン二枚にはさむ分だから卵はふたつ。焼きあがるとマヨネーズをぬりたくった食パンにスプーンでそっと盛り付けはさんだ。それを皿に積み上にあがるまでわずか10分、部屋に入りベッドに腰掛けたところでようやく息をついた。
 
 食べながら坂上のことを考える。電話番号を告げてもまだペンを放さず彼女は言った。「私は2年の坂上智代(さかがみともよ)。坂道の坂に上、頓智(とんち)の智に代わるだ。お前のオカザキトモヤというのは……なんという漢字なんだ?」
 本当に2年だったという事実に呆れ、頓智という言葉に少し笑ってから、「さぁ。貸して」と坂上が抵抗する間もなくペンとメモ帳をひったくった。そうして素早く見慣れた、しかし達筆で記された電話番号の上に汚い字を書く。
 それを受け取ったあと坂上は文句を言いたそうにしながらも、新たに加わったアドレスをしみじみと見つめて「私の智とは違うのだな」と、言った。
 そしてゆっくりメモ帳を閉じポケットにしまうと学校へ足を向けた。俺は坂の下へ。しかし案の定呼び止められる。「どこへ行く、まだ午後の授業があるだろう」 
「3年はないんだよ」
「嘘をつくな。私はそんないい加減な奴に付き合わないぞ」と引いた。手首をつかむその手は想像していたよりもやさしく温かだった。そのせいか大して強くもなかったのに俺は親に手を引かれる子供のよう歩いた。
 
 自分でもなぜあんなことを言ったのか解らない。春原は年中誰かに声をかけていたが、俺はせいぜい話しかけてくる杏(きょう)とその妹以外、女とかかわりはおろか話すことすらないのだ。急に恥ずかしくなった。
 オレンジジュースを一気飲みしてサンドイッチを流し込むと、そのまま布団をかぶって考えるのをやめた。

 
 翌昼は雨だった。近ごろやたら雨がふる。ここ2、3年気候がおかしいな、と春原に言えばメロンパンをかじり「人間ってすぐ自分の都合で話すからねぇ。地球だって万年健康じゃないっつ-の」と嘲笑する。俺は成る程と思ったが癪(しゃく)なので二つ目のメロンパンにコーヒー牛乳をこっそり注入してやった。
 雨の音にまけず教室はにぎやかだ。皆おしゃべりやゲームで憩いの時を過ごしている。窓の外は春雨のせいで景色がよくみえない。桜もこの雨が長引けば一週間と待たずに散ってくれるだろう。それを願った。皆が美しいという、その美しさが解らない自分が惨めで苛つくのだ。さらに幸せそうでいてそれも癪に障った。
 振り向くと藤林(ふじばやし)が立っていた。彼女は少し首を傾げつつ肩ほどの髪を揺らし、岡崎君、今日はずっと教室に居ますね、とぎこちなく微笑む。俺の代わりに春原が「委員長、こんな雨の中外に行けっての?」といやみっぽく笑うと、藤林はしどろもどろに弁解し、結局それもうまくできずに切り上げ突然「お暇だったらトランプ占いしませんか?」と持ちかけた。
「何だか今日の岡崎君、いつもと違います。だから占ってあげますよ」
 普段なら「いい」と頭を振るだけなのだが、藤林の目が特別熱心な光を宿していたので「じゃあ頼むよ」と隣の席を勧めた。真面目でおとなしい委員長は小さな子供のよう歯をみせ笑うと、嬉しそうにカードを切った。
「『転身花(てんしんか)』という占いをします」
 藤林は花のよう、放射状に裏返したカードを並べ始めた。八枚置くと余りの束を伏せ中央の円に置いた。
「真ん中のカードをめくって、周りのカードに重ねていって下さい」
 俺が手を伸ばすより早く春原が彼女の指示に従った。藤林は小さく「あっ」といって微かに眉をひそめたが、何度か瞬きをして微笑で和らげた溜息をつく。俺は拳骨で春原の頭を小突いた。「俺が先だ」
 ブツブツ言う金髪を押しのけて委員長の前に腰を下ろした。そしてカードを集めて切りなおし、「俺が並べてもいいだろ?」と尋ねた。藤林は「あ、そ、それだと岡崎君が占ったことになりますから……」と華奢な手を差し出したので、その上にカードを置いた。
 元のようカードが並べられた。俺は言われたとおり一枚ずつ表に向けカードを重ねてゆく。クローバーの2、ダイヤのJ、クローバーの5、クローバーの4、クローバーの3、クローバーの1、ダイヤのQ、ダイヤのK。「何か役っぽいな」と、俺。
 藤林は何度かうなずくと裏返したカードをめくっていった。ハートの1、ハートの10、ハートのK、ハートのQ、ハートの8、ハートの2、ハートの5、最後はジョーカーだった。
「なにこれ。ハートばっかじゃん」と、春原。「恋の訪れでもあるのかねぇ」
「いえ。そういう意味ではないです」藤林はきっぱり言った。それから「これは……」と考えこんでいた。俺は苦笑いして頭をかく。藤林のこんな顔はみたことがなかったからだ。
 その時肩を叩かれた。振り向く間もなく藤林とは対照的なロングヘアが、よっ、不良少年、と調子のいい挨拶をくれる。「あんたがおとなし~く昼休みに占いしてるなんて、雨でもふるのかしら」
「窓の外が見えんのか」不機嫌に指差した。「雨がふってるからここにいるんだよ」
 杏は冗談の通じない奴ってつまんない、とでも言いたげな顔で俺の額を指で押し、「あのさ朋也、日曜ひま? 一寸買い物につきあってくんない。私たちと」
 と、藤林の肩に手を置いた。だが双子の妹は真剣に何かを考えており全く気付いていない。杏は目をぱちくりさせて肩をゆすり、それでようやく彼女はこちらを向いた。
「椋(りょう)……。欲しい服があるっていってたじゃない。こいつ荷物もちしてくれるってさ」そう俺を指差す。藤林は目を見開いて驚き、それからしどろもどろに、あ、でも、日曜はやめた方がいいです、と言った。
「日曜日に大きな災いが岡崎君の身に降りかかります」カードを指す。「クローバーが岡崎君で、ハートが災いです。ジョーカーが出ているので……」
「ダイヤは?」と俺。
「ダイヤは災いから救う救援者です。でもハートの力が圧倒的でどうしようもありません」藤林は溜息をついた。「休日について占ってみたんですが……」
 皆が沈黙する。だが俺だけは別のことを考えていた。まさか災いってのは坂上のことじゃないだろうな。しかし日曜といったらそれしか思いつかない。あいつと過ごせばなにか厄介ごとにまきこまれる、という意味だろうか。あのヤンキーどもが報復に来るとか。
「じゃあさ、土曜日に皆で遊びに行かない?」と春原。「学校サボってさ。なら災いとかもないんじゃないの」
 俺と杏が一斉に罵声を浴びせた。「教室の真ん中で何言ってんだ馬鹿! 杏はともかく委員長がサボりなんてするわけねぇだろ」
「あたしも委員長なんだ・け・ど!」杏が俺の腕をつねった。それから金髪に、「大体なんでアンタついてくる気まんまんなのよ。馬鹿はひとりで間に合ってるから」
「男ひとり、女ふたりじゃ釣り合い悪いじゃん」と、全くこたえない。「僕と委員長、お前と岡崎で丁度いいだろ? Wデートといこうぜ」
「……何馬鹿なこと言ってんのよ!!」と杏は春原のすねを思い切り蹴飛ばした。それでふたりの口論が始まり、藤林はうつむいていた。俺は途方にくれていたが、ふと戸をみやった瞬間、息が止まった。
 坂上は俺と目が合うと微笑んで戸をくぐり近付いてきた。口論していたふたりも、うつむいていた藤林も、長い長い髪の少女が俺めがけてスタスタ歩いてくる様に注目し、なんともいえぬ顔をしていた。
「岡崎。昨日はすまなかった。私はとんだ失礼をしていたよ」坂上は桜色のメモ帳に挟んだ小さな紙きれを取り出し、俺に差し出した。「私の電話番号だ。人に尋ねておいて自分のを教えないなんてどうかしていた。何かあればかけてくれ。夜の7時から10時までなら問題なく出られると思う」
 俺は黙って受け取った。果たして杏がつぶやいた。「……は? 何……。これっ。えっ?」
 そうして俺と坂上を交互に見やる。坂上はそれには応えず、「じゃあ金曜の晩8時くらいにかけるから、家に居てくれよ」と背を向け出て行った。風のように現われ風のように去る……。簡潔明瞭単純明快、実に気持ちのいい、みたままの女だ。だが残された俺のことを考える気持ちはないようだった。
「お前……どういうことだよ!! 話が違うじゃんか!!!」そう春原が唾をかけると間をおかず杏が俺の肩に爪を立て、「まだ予鈴まで15分あるから。きっちり説明してくんないスケコマシヤロウ」と万引きを発見した書店員のように俺を作り笑顔でにらみつけた。藤林はまたうつむいていた。




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コメント
- 後書き①~朋也の隣には誰がふさわしい?~ -
 今回から後書きを書くことにしました。書いている二次創作小説について、CLANNADという作品について色々話していきたいと思います。
 後書きだけ読まれた方は、読んで気になったら、二次創作小説も読んで下さい(笑)。
 
 さて。今回書いて思ったことですが……岡崎モテモテだよなという(笑)。私今まで描いてきた物語で、はっきりモテモテな主人公って書いたことないんですよ。せいぜい女の子が多く登場するものくらいで……。
 なんでかというと、自分がイケメンでもモテモテでもないので、描けませんよと(苦笑)。いや、むしろそうだからこそ物語に願いを託すんじゃないのか……という意見もあるでしょう。しかしそうできるほど素直じゃないんですよ。

「CLANNAD」という作品の二次創作で智代を選んだのはなんとなくなのですが、一応上記に関する根拠もあるのです。ネットで色々「CLANNAD」に関する情報を見ていて、岡崎を人生で最も必要としているのは、智代じゃないのか?という風に思い至りました。

 杏、椋、ことみ、風子、そして渚。彼女らには岡崎が居なくとも幸せになれるような気が、あくまで私の主観ですが思うのです。

 杏は最も普通の恋をしているように見えました。なので岡崎に失恋しても、また誰か現れるかもしれない。

 椋も同じで、辛い思い出にはなるだろうけど、彼女は後に多くの男から求婚されそうな気がするんですよね(笑)。

 ことみは将来立派な学者になって、同じく学者の素敵な男性にめぐり合えるような気がします。

 風子は恋とか関係なく皆に好かれるでしょう。 

 そして渚ですが……。渚が幸せになるために隣を歩く男は必ずしも岡崎ではなくてもいいような気が、私はしました。理由ははっきり書けません。


 と、これらをご覧になってお分かりでしょうが、まったく根拠のない、どのキャラでもそのようにいえる、私個人の主観です(苦笑)。ただそういう考えから私が智代を選んだという創作動機を書かせて頂きました。

 おっと、じゃあ智代はどうなの? ということですが……。

 私の智代に対する人物評ですが、彼女は純真無垢、例えるなら能力の高い子供です。全くの無防備で自分の魅力を自覚していません。あらゆる能力が優れているため危険に対処できますが、その人惹く華のせいで本当に心やすらぐ場所は持ちにくいと思います。
 
 生涯多くの友人が出来、あまたの男から愛の言葉を受けるでしょう。しかし多分、岡崎以外の人間では安心できないのではないでしょうか。
 
 一見智代と岡崎は縁のなさそうな人間同士ですが、実はよく似ているのです。どちらも抱えている問題が似ており、それがもとで横にそれた経緯がある。そしてその抱える問題解決を願い求め、さびしいかおをしている。
 私は人間というものは、似たものにしか惹かれないと思っています。よく自分にないものを欲する、といいますが、それは無いのではなくて実現できていないだけで「ある」ものなのです。なので自分の根っこと共通点が、本当に見出せない人間に対してははおそらく無関心、対すれば恐怖と嫌悪感があるのではないでしょうか。

 人間の相性は能力ではなく人間性です。そういうわけで私の見る限り、智代に安らぎと幸福を与えてくれる男は、岡崎のようなタイプでないかと考えて、智代の話を選びました。

  
 今回たくさんのキャラを描きましたが、描くとやはり感情移入しますねぇ。椋が可哀相だろ、なんとかしろ岡崎(苦笑)と思いました。まぁ描いてるのは私なんですけど……。杏も可哀相だなぁ…。

 全員分書きたくなるな(苦笑)。考えないようにしよっ。
2008/05/29 20:08  | URL | ハルヒン #JalddpaA[ 編集]
-  -
ラブコメ大好物のstar9ですこんばんは!
くーーー!!!!
楽しくなってまいりましたね?!
あのタイミングで智代タン突入してくるとは。。。なんというGJ。。。。
正直ニヤニヤが止まりません。。。。っ!
この先の展開が凄く楽しみです★


> 全員分書きたくなるな(苦笑)。

はーい、皆さんここ注目ですよー!
ここから物語はADV的に分岐、小説では類を見ないマルチエンディングへ――――
。。。。。そ、そんなのも、ありかなぁ。。。なんて。。。(遠い目
まぁ私は智代タンエンディングが見れたらそれでいいんですけどね! ウワー



ーいただいたレスに反応ですー

> そのうち、そのうちに……(逃)

―――この私から、逃げられると思っているのですか? ごごごごごごっごっご


>  私はセミとゴキ○リに関して恐ろしい話を持っていますが、聞きたい場合はどうぞ(笑)。

ちょw ごめw なんだかトラウマになりそうな予感がするので遠慮させていただきます!


> 今絵チャにある智代はめちゃめちゃうまいんですけど、なんか淋しそうなんですよね。隣に何か描いてやらないといけないような気がするんですよ(笑)。

お褒めいただきとても嬉しいです! お言葉に甘えて既に全消しして新しい絵を描いちゃっているのですが、是非気が向いた時にでも智代タンの横に描き加えて、再度アプしていただければ幸いです★
2008/05/30 21:24  | URL | star9 #kLoia8aY[ 編集]
- 返信(star9さん) -
 いつも感想有難うございます。とても励みになっています!

>楽しくなってまいりましたね?!
>あのタイミングで智代タン突入してくるとは。。。なんというGJ。。。。

 智代は見事に空気を読みませんでした(笑)。今回はキャラのやり取りが多かったので、楽しくかけましたね。絵師紹介でなんとなくお分かり頂けると思いますが、会話を描くのは好きなのでねぇw。


>ここから物語はADV的に分岐、小説では類を見ないマルチエンディングへ――――
。。。。。そ、そんなのも、ありかなぁ。。。なんて。。。(遠い目

 ないです(笑)。私が(作業量の多さに)しんでしまいますよwwww。

 残念ながらこの二次創作では、智代以外の子には岡崎を諦めてもらうしかないですね…。


>―――この私から、逃げられると思っているのですか? ごごごごごごっごっご

 ジョジョwwwwwwwwwww。

 いつか、いつか……(再逃)


>ちょw ごめw なんだかトラウマになりそうな予感がするので遠慮させていただきます!

 まぁ私も思い出したくないので、封印(笑)。


>既に全消しして新しい絵を描いちゃっている
 
 既に拝見していますが、うまい! しかしあれはどういう設定なんですかw。


 コメント有難うございましたw。
2008/05/30 22:31  | URL | ハルヒン #JalddpaA[ 編集]
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