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宮崎駿論 作家が老いるとはどういうことか
2007/10/18(Thu)
 今回はアニメーション監督、宮崎駿さんのお話です。

  
 宮崎駿さんは今、日本で最も有名なアニメーション作家であり映画監督でしょう。なので氏について語られることは非常に多く、私も幾つか読みましたが、読むだけで満足できない、いや、読んだからこそ満足できないので(笑)、語らせて頂きたいと思います。


 まず、個人的なランキングを。各作品の個人的評価の差を明確に表したいので、品がありませんが今回はあえて点数を付けさせて頂きます。


1.もののけ姫    92点

2.となりのトトロ   90点

3.魔女の宅急便   80点

4.天空の城ラピュタ 77点

5.風の谷のナウシカ 75点

6.紅の豚       65点

7.千と千尋の神隠し 60点

8.ハウルの動く城   40点

 

 
 短編やTV作品は未見のものが多いので除きました。またカリオストロの城も一度TVで途中から見たきりで正当な評価が出来ませんので、外しました。

 
 
 この評価には根拠があります。単なる好みでは評価していません。純粋な好みの順序だと少し変わりますから。


 客観的に見ても、宮崎さんご自身のテーマが存分に発揮され、また作品として成功しているのはもののけ姫とトトロだと私は思います。そしてテーマ性は若干薄めになっているが娯楽性が高いものとして魔女、ラピュタ。高いテーマ性をまだ作品として練りきれず不十分な形で出したナウシカ、ご自身のテーマも娯楽性も作品として昇華させる事を捨てて快楽のみを描いた豚、そしてもののけ姫を経た紅の豚というべき千尋、作品を作ることを放棄して内面をただ描いたハウル。

 以上が私の評価に対する根拠です。

 
 宮崎さんは人間同士の争いだけでなく、自然との関係も交えたドラマを展開していますが、しかしドラマというのはやはり人間の話なのです。アメリカ映画は擬人化が解り易すぎますが、どこの国のドラマでも人間が描く以上、人間の何かを託して他の生物を描いていることは明らかです。結局、人間の心と心の対立と葛藤を描くものがドラマではないでしょうか。

 
 若いときは様々な葛藤があり、緊張感が持続しています。肉体の若々しさは精神の若さと不安定さも持っているのです。しかし歳を取り肉体が衰えてくると、特定の人を除いて段々と心は平坦になっていきます。起伏がなくなるのです。

 作家の場合、これが良い風にはたらくこともあります。「若造」では描けない世の理(ことわり)、人生の真実を淡々と的確に描写することをできる場合がありますし、歳をとることそのものが作品の説得力を生むこともあります。


 しかし物語に劇的な力を与えるという点においては、老いというのはプラスになりません。勿論、歳をとられてもそうではない方もいらっしゃいますが、その方は心が老いてはおられないのです。

 
 宮崎さんの場合、私は「千尋」をみて老いを感じました。おそらくもののけ姫で、氏の人生の宿題はやり遂げられたのではないでしょうか。現役を退いた名選手のあそびに私は見えました。なんでも知り合いの少女に見せるために作られたそうですが、本当にそういう作品…つまり世間に向けたものではないと。
 今までの作品もそういう動機で作られたという話を読んだことがありますが、しかしそれまでの作品は、その見せて喜ばせたいという子以外の人間に対する眼がありました。それはやはり緊張感が持続していたのだと思います、もののけ姫をやるまでは、宮崎さんはしねなかったのです。


「千と千尋の神隠し」は、十歳くらいの女の子に見せるため「だけ」に作られた作品ならば100点です。まさにその年頃の女の子が憧れ楽しめるつくりになっているからです。

 しかしそれ以外の層では、キャラが好きという感想はともかく、ストーリーに納得がいくことはすくないのではないでしょうか。私は明らかに破綻していると思います。物語としては成功していない。映画館でみて非常に腹が立った事を(苦笑)憶えています。

 外的に物語のつじつまあわせをせず、少女の心、興味をはしらせ高ぶらせ、着地させている物語が「千尋」だと思いました。これをわざとそういう風に作ったのだとは評することはできません。たとえわざといわゆるストーリーとして成立させることを捨てたのだとしても、やはりストーリーはストーリーとしてきちんと作られていなければならないのです。典型的なストーリーを外してそれ以外で成立させることは大変難しいのです。宮崎さんはその理想が実現できなかったのだと評します。

 それがはっきり断言できるのが「ハウル」です。あれは物語ではありません。宮崎さんのイメージボード集です。ひとつひとつの映像は単にきれいというだけでなく、やはり力があり美しく素晴らしい映像です。映像というのはCGが駆使されているから、描き込まれているからすごい、優れているのではなく、どれほど作り手の心が詰まっているか、それがひとつの作品として成りえているか、ということが、優れた映像を評価する時の、私の基準になっています。

 しかし「ハウル」は前後のつながりがないのです。本当に好きなこと、思いついた優れたアイディアを並べているだけです。これはストーリーを外して作っているのではなく、もともと高い構成力を有するタイプではなかった宮崎さんが、もののけ姫まで無理をして頑張ってきた意識がなくなり、まるでラクガキ帳に自由に絵を描く子供のように、解放されてしまったからです。これはもう、商業的に成功したことがかなり大きいと思います。もし貧乏の底で、勝負をかけようとする立場であるなら、絶対にこういうつくり方にはなりません。もののけ姫の成功は、物語作家宮崎駿を殺してしまった部分があるのではないでしょうか。宮崎さんはもう画家になられた気が私はします。

 私の中ではもはや物語を語るひとではないです。



 ただし、ハウルを120点にする見方が私にもあります。それはハウルは宮崎さんの夢を描いたものとしてみることです。夢であるならば、支離滅裂の方が自然です。そうした見方をすると、ひとりの作家の内面を描いている作品として、作家研究者には価値があるものではないでしょうか。

 ただしそういう見方が可能なのは、宮崎駿という作家の今まで残した作品群が優れたものであるということです。比較して宮崎吾朗さんの「ゲド戦記」はハウルと同じように支離滅裂ですが、氏の作品にはそういう評価を与えることは出来ず、ただの失敗作と評します。


 
 以上のような宮崎さんの変化を思い、現在製作中の「ポニョ」がどういう作品になるか、気になります。
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コメント
-  -
 私は宮崎駿さんを評価する事が出来るほど見ていないので、今回は一部共感した点だけコメントしていきます。

>>宮崎駿さんの老に関して
 一度、私は創作に関する自分への不満みたいなものを文章にしようか迷った時、「自分は豊になり過ぎた」と書きました。「もっと貧しくありたい」とも。これは、私生活に満足してしまった為、日常への憧れを抱きながら創作に逃避した中二病(苦笑)の頃に比べて酷くつまらない創作をしているなと感じたのが始まりだったのですが、それに通じる事が書いてあるように感じました。本当は少し違うかもしれませんが、少なくとも私の中で勝手にそう変換されました。
 最近、ネタ帳が知能だのなんだのについての自分の考えを淡々と書く物になりつつあり、ストーリーの起伏に触れられない私は自身の心の老を心配せずには居られません。

>>肉体の若々しさは精神の若さと不安定さも持っているのです。
 なんだか納得してしまいそうです(若々しいとは言えない自分の脆弱な肉体を見て……)。肉体に相応しい精神を持つ一方で、絶対的な若さがその不安定さを解消出来ない。そんな感じなのかもしれません。
2007/10/20 11:01  | URL | ふみお #LkZag.iM[ 編集]
- コメ出遅れた! -

私のお気に入りはナウシカともののけですかね~
千と千尋、ハウルは坊(鼠Ver)とカルシファーがお気に入りなだけでストーリーはとくにって感じですw

ハウルは綺麗に動くスライドショーってところなのでしょうか(汗


老いですか~なんとなく納得できる点がちらほら(汗


蟻でたとえるなら(なぜ蟻で例えてるのかは自分でも不明)、もものけという作品を作り終えた時点で宮崎さんは羽蟻から地を這う蟻へとなられたのかもしれませんね。
2007/10/20 21:15  | URL | 銀髪 #zgUyPM1.[ 編集]
- 返信(ふみおさん) -
 どうもお久しぶりです。長い間コメしてなくてすみません(汗)。最近コメントしようと思ったんですが、入れないんですよ(苦笑)。まぁそのうち入れるようになったらさせて頂きます。


>私生活に満足してしまった為、日常への憧れを抱きながら創作に逃避した中二病(苦笑)の頃に比べて酷くつまらない創作をしているなと感じた

 これは非常によく解りますよ。創作…何かを創るというのは無いから創るわけですから。物が典型的にそうですけど、フィクションの場合は心を満たすために創るのが、創作だと思います。

 社会への不満、異性に対する欲求、家族や友人関係での悩み、現在の創作物への不満もそうです。無いものを自分の手で満たそうとする、こういう乾きがなければ、いい物はつくれませんね。

 ふみおさんは今現在、過去の自分より満たされていると感じているようですが、根っからの創作者であるなら、不満は尽きないんですよ(笑)。新たな不満、欲求がぞくぞく(笑)湧いてくるわけです。

 不幸であること、辛い立場にたっていることの方がいいものを必ずしも創れるとは限りません。余裕があるからこそ生まれてくる新たな欲求もあります。ふみおさんなら例えば、人工知能に対する興味から色々な好奇心が沸いてくるはずですから。

 昔と比べてテーマが変わっただけ…と捉えるといいかもしれませんよ。

 老いについて書いたのは私自身の肉体的な衰えも関係しています。まだ28ですけど(笑)、いわゆる「おっさんの肉体」になる過渡期にいますのでよく解るんですよ。

 心の老いは私の場合昔から言われてましたね(苦笑)。好きなことを話しているときだけ若返りますけどねww。


 心の若さというのは新しい事にチャレンジする、興味を失わない、変化を恐れない、失敗してもまた立ち上がる…という感じですかね。つまり行動や考えに「次がある」ことを前提にしているわけです。

 
 ふみおさんはどんな感じでしょうか。


 ということでコメントありがとうございましたw。
2007/10/21 20:39  | URL | ハルヒン #JalddpaA[ 編集]
- 返信(銀さん) -
 お久しぶりです~w。いつもありがとうございます。


>千と千尋、ハウルは坊(鼠Ver)とカルシファーがお気に入りなだけでストーリーはとくにって感じですw

 
 私が上のような記事を書いていて一番心配するのは、ファンの方の気分を害さないか、ということなんですよ(苦笑)。

 評論と悪口は違うのですが、辛口に書くとやはり人間ですから悪口を言われていると思うのが自然です。

 しかし私は辛口評論をしても、その苦言は作者に対してであって、その作品を好きなファンに対してではないのですよ。


 ハウルでもキャラが好きな人はたくさん居ると思いますよ。特にハウルは格好良いし…。女性ファンがかなり多いと思います。

 作品はそういう見方をしても良いのですよ。キャラが好きでも、ストーリーがすきでも、音楽に惹かれてもなんでもいいんです。

 ただし、評論はそれじゃ駄目だということです。作品の良し悪しは、全体を見て評さなければならない。物語においてストーリーは極めて重要です。きっちり創っていなければ駄目だとはまったく思いませんが、破綻しているにしてもそれを納得させるだけのパワーが無い破綻はやはり失敗だと思います。


 何か長々言い分けを(苦笑)してしましましたが、そういうことですから。どうかよろしくお願いします。


 私も坊がネズミになっているときは好きなんですよ。あのネズミ運動器具(?)みたいなのをまわしているシーンは面白かったですね。しっぽで飛ぶ所とか(笑)。

 
 ハウルの空中階段にしろ、千尋の電車にしろ、映像作家としては一流の仕事だと思います。映像創作を志望する身としては憧れますから。

 問題は、それを始めとする好いシーンが物語をみせるものとしてうまく機能していないため、感動が薄いというところです。絵だけが浮いているのですよ。それがもったいないなぁと、私は思いました。


>蟻でたとえるなら(なぜ蟻で例えてるのかは自分でも不明)、もものけという作品を作り終えた時点で宮崎さんは羽蟻から地を這う蟻へとなられたのかもしれませんね。

 作品内容はそうかもしれません。私はもののけ以前の方がよかったと思います。

 ただ宮崎さんの心はもののけ以後に羽を持ったのかもしれませんね…。なんとなくですが。



 長々すみませんでした。コメントありがとうございましたw。
2007/10/21 21:07  | URL | ハルヒン #JalddpaA[ 編集]
-  -
こんばんは!
遅くなってしまいましたが、コメント残させていただきまーす!

ふむ、なるほど。。。宮崎さんの作品が「もののけ姫」以降であまり心に残らなかったというのは、ストーリーそのものが破綻していたという事なのですね。。。
たしかに「千と千尋の神隠し」なんかは、「う~ん面白いのは面白かったけど、結局なんだったんだろう?」という感想だったなぁ。。。
部分部分は楽しいのですけど、なんか終わってみると心に残るものがなかったんですよね。。。
もののけ姫がやは宮崎さんの最高作品となるのでしょうか。この先宮崎さんの作品からあれ以上の作品が出てこないとすると、う~んそれは寂しいです。。。。
ハルヒンさんの話では次回作を作成されているとの事なので、まだまだ先がある事を期待したいです。

なんだか今回のハルヒンさんのお話は、素人ながらも創作を行う一人として、色々と考えさせられるなぁ。。。
2007/10/29 01:40  | URL | star9 #kLoia8aY[ 編集]
- 返信(star9さん) -
 コメントありがとうございます。star9さんのところの更新分は早くに拝見しているのですが、コメントはもう少しまって下さい(汗。
 HPの作業をしているので…。漫画じゃないんですけどヒ~!orz 漫画はそのあとになります…。 

 セイバー絵返信メールも届いています。喜んでいただけたようなのでほっとしました。

 以上、私信でしたw。


>部分部分は楽しいのですけど、なんか終わってみると心に残るものがなかったんですよね。。。


 シナリオを書かず、いきなり絵コンテを描かれているそうですから、破綻するのも無理はないと思います。

 紅の豚からだったたかな? 一寸忘れましたが、もののけ姫からは確かそうでした。


 もののけも当時ストーリーに批判があったようですが、私はあれが宮崎さんの作品で一番ドラマとして良く出来ていると思うんですよ。やはり思い入れが違うのではないでしょうか。そういう緊張感がありますからね。

 ただしもののけも絵の動きの色気は、かなり落ちたと思います。ナウシカと比べたら解りますが、以前の作品の方がはるかに生命感がある動きです。

 もののけ以降は動きに関してはパワーダウンしているような気がしました。


 ちなみに75点とつけたナウシカはアニメですからねw。原作についてはまえ~にw絵板での返レスで一寸書きましたが。その話も又今度取り上げたいと思います。


 ではこの辺で。コメントありがとうございましたw。
2007/10/29 20:47  | URL | ハルヒン #JalddpaA[ 編集]
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